子供の虫歯菌はどこから来るの?②
虫歯菌の感染源
虫歯菌(ミュータンス菌)は、主に母親の唾液中の虫歯菌が、食事中のスプーン、フォーク、箸、などの共有によって子供に感染します。
母親からの感染が多いため、「母子感染」といいます。
母親の口の中の虫歯菌が多いほど、子供は虫歯菌に感染しやすくなります。
そして虫歯リスクも上がります。
アメリカ・ロチェスター大学(ノーベル賞受賞者・小柴昌俊博士の出身大学)での研究では、
口の中の虫歯菌が少ない母親(103CFU/ml以下)の母子感染率が6%だったのに対し、
口の中の虫歯菌が多い母親(105CFU/ml以上)の母子感染率は58%となりました。
感染率は9.6倍もの差となりました。
虫歯菌の母親から子供への感染
虫歯菌は主に母親から感染しますが、近年のDNA解析技術の進歩により感染経路がより明らかになってきました。
母親以外にも父親、保育所内での感染も報告されており、子供の育つ環境によって左右されることも明らかにされつつあります。
母親由来が51.4%、父親由来が31.4%、その他が18.6%というデータがあります。
やはり接する時間の長さが長いほど、食事の世話をする時間が長いほど感染源となる確率も上がってきます。
かわいいお子さんの虫歯リスクを下げるには、周囲の保護者のお口のケアが大切ですね。
虫歯菌の感染予防
乳歯が生えてくる時期で特に感染の危険が高まるのが、
生後19ヵ月(1歳7ヶ月)から31ヵ月(2歳7ヶ月)までの「感染の窓」と呼ばれる時期です。
この時期は最も注意が必要とされています。
この時期に家庭や歯科医院でしっかり感染予防ができれば、その後は虫歯になりにくくなります。
スウェーデン・イエテボリ大学での研究を紹介します。
母親の口の中に大量の虫歯菌(105CFU/ml以上)がいて一緒に生活した子供の虫歯菌の感染率の研究です。
母親が歯科医院で虫歯治療・歯のクリーニング(PMTC)・フッ素塗布などの適切な処置を行った場合、子供の虫歯菌の感染率が大幅に下がり、虫歯の有病者率も大幅に下がりました。
母親の予防処置の有無による子供の虫歯菌感染率、虫歯の保有率
この事からも分かるように、子供の虫歯菌の感染経路は周囲の大人です。
まだ小さいお子様のお世話は大変で自分の事に時間をかける余裕は中々無いのが現状だと思います。
ですが、お子様のお口の健康を考えるのであれば、ご自身や周囲の大人のお口の健康にも目を向けて下さい。
小さなお子様にはベビーカーなどの用意があります。
預かってくれる人が見つかりにくい場合は、予約時間も融通をきかせます。
まだこれから先,何十年もご自身の歯で食事をしていきます。
ですので、自分のお口の健康にも目を向けてみて下さいね。