薬剤耐性について

薬剤耐性（やくざいたいせい）とは、病原菌やがん細胞が薬物に対して耐性を持つようになる現象を指します。

薬剤耐性が発生すると、治療に使われる薬物が効かなくなり、感染症やがんの治療が困難になることがあります。

 

主な種類

 

抗生物質耐性

 

原因：抗生物質の過剰使用や不適切な使用が主な原因です。

例：多剤耐性結核（MDR-TB）、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）

 

抗ウイルス薬耐性

 

原因：抗ウイルス薬の不適切な使用や、ウイルスの遺伝的変異。

例：抗HIV薬耐性、インフルエンザウイルスの耐性

 

抗がん剤耐性

 

原因：がん細胞の遺伝的変異や、治療の過程での自然選択。

例：乳がん、肺がん、白血病などの治療で見られる

 

 

メカニズム

 

薬剤耐性が発生するメカニズムは多岐にわたりますが、主なものには次のようなものがあります

 

薬物の排出

病原菌やがん細胞が薬物を細胞外に排出することで耐性を持つ。

 

薬物の分解

病原菌やがん細胞が薬物を分解する酵素を生成することで耐性を持つ。

 

標的の変異

薬物が作用する標的分子が変異することで、薬物が効果を発揮しなくなる。

 

代謝の変化

病原菌やがん細胞が薬物を無毒化する代謝経路を持つことで耐性を持つ。

 

 

対策

 

薬剤耐性に対処するための対策には、以下のようなものがあります：

 

抗生物質の適正使用

 

不要な抗生物質の使用を避ける。

処方された抗生物質は指示通りに使用し、途中で中断しない。

 

新薬の開発

 

新しい抗生物質や抗ウイルス薬、抗がん剤の開発が求められる。

 

感染予防

手洗いやワクチン接種など、感染症の予防策を徹底する。