ホワイトニングの白くなるしくみ
- 歯が黄ばんでくる理由
歯の表面にはエナメル質があり、その内面に象牙質があって中心に歯の神経(歯髄)があります。
エナメル質は白い半透明の層でできており、象牙質は名の通り象げ色(茶色)をしております。
エナメル質は年齢を重ねるごとに次第に磨り減って薄くなります。
一方、象牙質は歯の神経を守る為の反応としてむしろ厚みを増していきます。
従って象牙質の色が次第に目立つようになります。
- ホワイトニングの薬剤の作用
ホワイトニングには、30~35%程度の過酸化水素水や過酸化尿素を使用します。
過酸化尿素は分解され、尿素と過酸化水素に分かれます。
さらに、過酸化水素(H2O2)→H+HO2に分解されます。
このHO2(強いフリーラジカル)がエナメル質に浸透し、着色物質(有機質)に作用する為、
色調を明るくする事ができると考えられています。
- マスキング効果
歯の表面のエナメル質の色素が無色透明になっただけでは歯は白く見えません。 なぜならば、エナメル質の色は白色ではなく、半透明で内部にある象牙質の色は黄色みがかっているため、エナメル質を無色透明にしても、黄色い象牙質の色が透けて見える事になるので、歯は白く見えません。
歯の表面のエナメル質は下図のように角柱構造が束になっており、半透明です。
エナメル質は小柱構造(小さな小柱が束になっている)のためどうしても光が通過しやすく、象牙質の色が透けて見えてしまいます。
ホワイトニング剤の作用は歯の着色有機物を白くするだけでなく、エナメル質表面の構造を角状から球状に変化させています。
こうなることで光の乱反射が起こり象牙質の色が透けて見えなくなります。
これをマスキング効果と言います。
- ホワイトニング後の『後戻り』
- 再着色による後戻り
歯は飲食などによって、いつも着色しやすい環境にさらされているといえます。
従って、ホワイトニング後も時間の経過とともに、元の色へと戻っていきます。
しかし、着色しやすい食生活を改善したり、セルフケアを工夫することで、後戻りを遅らせることも可能です。
- 再石灰化による後戻り
ホワイトニング剤の働きで、エナメル質が曇りガラス状になることをお伝えしましたが、こちらも時間の経過とともに、元の表面状態に戻っていきます。
エナメル質はミネラル分の消失(脱灰)と再形成(再石灰化)を繰り返しています。
この再石灰化の作用によって元のような表面に戻るため、透明度が上がり中の象牙質が透けてきて後戻りが起きます。
- 主な4つのホワイトニング法と後戻りについて
ホワイトニングには、オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング、デュアルホワイトニング、セルフホワイトニングの4種類があります。
- 1.オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、すべての施術を歯医者さんで行うホワイトニングのことです。
歯医者さんでは、高濃度の過酸化水素を使ったホワイトニング剤を扱うことができるので、1回の施術で白さを大きくアップすることも可能です。
オフィスホワイトニングの持続期間はおよそ半年から10ヶ月程度で、一気に白くした分、比較的、後戻りが早いものです。
食生活やセルフケアの程度によって異なります。
- 2.ホームホワイトニング
歯医者さんでホワイトニングキットを購入して、自分で施術を行うのがホームホワイトニングです。
オフィスホワイトニングと比べると、扱えるホワイトニング剤の過酸化水素濃度が低いので、効果を実感するのに2週間から1ヶ月程度かかります。
白くなるスピードは緩やかですが、薬剤を毎日じっくり浸透させることができるので白さの中に透明感が感じられて、自然な感じがします。
後戻りが遅く、持続期間はおよそ1年程度になります。
- 3.デュアルホワイトニング
オフィスホワイトニングを行い、補助的にホームホワイトニングを行うのが、デュアルホワイトニングです。
オフィスホワイトニングで、大きく白さをアップした後、ホームホワイトニングでじっくり白さを高めていくことが出来ます。
効果を実感するのが早く、しかも後戻りが遅いというメリットがあります。
- 4.セルフホワイトニング
セルフホワイトニングは、歯医者さんの在籍しないサロンなどで行うホワイトニングです。
過酸化水素を使ったホワイトニングは認められておらず、施術も自分で行う形になります。
主にステインを除去するような薬剤となります。
歯を漂白する施術ではないので、ホワイトニング後のステインケアとして、後戻りを抑えるための利用の仕方がお勧めです。
- 後戻りを軽減するための方法
前述した通り、ホワイトニングを終えた直後から、歯が再着色したり、エナメル質の状態が元に戻っていくものです。
従って、後戻りを少なくすることが、白さをキープする上で、もっとも大切なことになります。
- ホワイトニング直後は要注意!
ホワイトニング直後の24時間以内は、特に着色しやすいので注意が必要です。
通常、歯はペリクルと呼ばれる薄いタンパク質の保護膜に覆われています。
この被膜には、着色や虫歯などを防ぐ役目がありますが、ホワイトニング剤によってペリクルが剥がれているので、
とても着色しやすくなっています。
ホームホワイトニングは毎日施術を繰り返すことで効果を発揮する方法であるため、ペリクルが再形成されることがないままの状態が続きます。
ペリクルはおよそ1日程度で唾液中の成分によって再生されますので、直後の24時間は注意が必要となります。
- 着色性の高い食生活
ホワイトニングで白くなった歯が元の色へと戻っていってしまうのは、普段の食生活が大きく関わっています。
ワインやカレーなど多くの飲食物が上げられますが、目安としては食べた後に舌に色が強く残るような食べ物が要注意です。
着色性の高い食事を好んでいる場合は、それを少し見直すだけでも、後戻りを軽減させる助けになります。
- 沈着する前に着色汚れをケア
着色汚れは、歯の表面のペリクルに色が付くものです。
これが積み重なると、歯の内部に沈着していきます。
従って、汚れが沈着する前にしっかりとケアすることで後戻りを軽減できます。
着色汚れ(ステイン)を除去する歯磨き粉や歯医者さんでの定期的なクリーニングをすることで、沈着を防ぐことができます。
- タッチアップで後戻りを防止
タッチアップとは、定期的な追加のホワイトニングです。
これは、厳密に言うと後戻り防止ではなく、再度ホワイトニングすることです。
半年くらいを目安に、定期的にタッチアップしておけば、高いレベルで白さをキープすることができます。
以上のことから、ホワイトニングは行ってお終いというわけではなく、日ごろの食生活やお手入れで結果が全く違う物となる事が分かったと思います。
ホワイトニングを良い機会とし、歯の健康管理を行い、白くきれいになった自分の歯をいつまでも大切にしていく事も良い方法だと思います。